意味が分かると怖い話

【完全オリジナル】意味が分かると怖い話:離婚届

【完全オリジナル】意味が分かると怖い話:離婚届

完全オリジナル「意味が分かると怖い話」。

暇つぶしにいってらっしゃい…

意味が分かると怖い話:離婚届

春だというのに天気が悪く肌寒かった4月1日、夫が神妙な顔で私に話があると言い出した。
何事かと思ったら、私の目の前に緑色の紙を差し出して「実は・・・」と語り始めた。
話を聞くと、私と離婚したいらしい。理由は「好きな人ができて」というもので「自分だってばかげていると分かっている。でももうこの気持ちは誰にも止められないんだ」とうつむきながらもハッキリとそう言った。

私は、夫からの突然の告白を聞き、混乱するどころか喜んでしまった。
なぜなら私はずっと夫と離婚したいと思っていたからだ。
家の事は何もやらず、いつも偉そうな顔をしてふんぞり返り、稼ぎも大したことない上に、いっちょまえに食事にがっついてブクブク太った夫など、もういらないと思っていた。
幸い子どももまだいない。離婚するなら早い方が良いと思っていたのだった。

私は、しかし歓喜する表情を出さないように注意して、なるべく深刻な顔を作って「分かった」と言い、離婚届に判を押した。

夫はほっとした顔をするか、泣いて感謝の言葉でも述べてくると思った。
しかし、目の前の夫はなんだか説明のつかないような変な評定をしていた。何の言葉も発する事なく、私がサインした離婚届を凝視している。

夫の口からは、言葉とはいえないような音が漏れ、よく見ると暑くもないのに汗を書いているようだった。

そんな夫の予想外の反応に、私は正直「気持ち悪い」と思ってしまった。
ダラダラと変な汗をかいて、目を白黒させて、何も言わずに離婚届を凝視している夫が非常に不愉快だった。

私は「そういう事で、今までお世話になりました。私はひとまず実家に戻れば良いのね」と言い、荷造りするために部屋へ上がった。

途中、廊下の隅に、バラの花束と小さな箱を見つけた。
「ふん」
私は小さく鼻を鳴らした。
私との離婚が成立したら、夫は「好きな人」とやらに晴れて交際か結婚の申し込みをするつもりだったに違いない。

「冗談じゃない」
私は吐き捨てるようにそう呟いて、足早に自室へ向かった。


4月1日はエープリルフール
夫は妻にどっきりのつもりで離婚を切り出し、妻からの「どうして?」とか「離婚なんてしない」とか泣かれるとか、そのような反応を期待していたに違いない。
廊下のバラと小箱もネタばらし後の妻へのプレゼントだったのであろう。
しかし妻は、あっさりと離婚届にサインし、実家に帰る荷造りを始めてしまったのであった。